ハーブを利用して“冷え”知らずの冬を

ハーブを利用して”冷え”知らずの冬を

ハーブティー、料理、オイル、香辛料、化粧品、キャンドルなど、生活の中のいろいろな場面で大活躍のハーブ。医学的見地を参考に、ミントやアロエ、生姜など、さまざまなハーブを賢く使って快適生活を送りましょう。

ハーブを賢く使って暖かい冬を過ごす

20131015_ハーブのある暮らしハーブティーはもちろんのこと、化粧品、料理、香辛料からオイルやキャンドルまで…。生活の中のいろいろな場面で活躍するハーブですが、元来ハーブとはどんなものでしょうか?!
「香辛料として用いたり、民間療法に利用したりする香草・薬草。煎じて飲んだり、化粧品などに配合したりする。」(大辞泉)と表記されています。言い換えれば、ハーブは、人々の生活に役立つ植物の総称といったところでしょうか。

身体にゆっくりと作用し、自然治癒力を高める効果があると言われているハーブ。ハーブを正しく理解し、賢く使って快適生活を実践するための知恵やヒントをご紹介していきます。
今回のテーマは「冬に使える身体を温めるハーブ」です。

軽く見てはいけない身体の”冷え”

冬、冷え性にはつらい季節がやって来ました。この”冷え”や”冷え性”という表現は、実は欧米ではあまり用いられない東洋独特のものです。発熱時の悪寒や、末梢循環障害といったものとは異なる状態で、特に女性に多く見られる症状です。

一言で冷え性といっても手先・足先などの末梢に感じる冷え、背中や腰部の冷え、身体全体の冷えがあります。また実際に患部が冷えている場合と、冷えの自覚症状はあるが患部は冷えていない場合など症状は様々です。

その原因も自律神経系や更年期などの内分泌動態によるもの、心因的なものや体質によるものなど、様々な要因が重なり合い、はっきりしないことが少なくありません。こうしてみただけでも、冷えが結構やっかいなものであることがご理解いただけると思います。

さらに、冷えが怖いのは、甲状腺機能低下症や貧血症など他の病気が関わっていることや、逆に冷えが原因で他の病気を誘発しているケースがあることです。ただの冷え性といっても軽く見るのは禁物です。

冷え性には、自覚症状がまったくないものもありますので、「私は冷えとは関係ない。」と思っていても、最近しみが増えた、とか生理不順だという方は、実は冷え性ということも考えられます。「もしかして冷え性?」という方は「あなたは冷え性?」をチェックしてみてください。
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関連リンク
20131031_リンク矢印「あなたは冷え性?」
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“医食同源”東洋のハーブのグループとは

さて、冷えに対して、東洋では生薬や食材が多数用いられてきました。また欧州由来のハーブにもこの冷えに有効と思われるものがありますのでご紹介しましょう。
東洋は「医食同源」という言葉が示すように、生薬を組み合わせた漢方薬のみならず、食材でも冷えに対応しています。

何千種類もあるといわれる生薬、そして、食材には各々に”薬性”があります。これらは実際に人が服用したときの人体の反応によって区別されていています。
唐辛子や生姜のように食べると暖かくなる“熱や温”というグループ、薄荷などのように冷える“寒や涼”というグループ、そして寒熱に関わらない“平”というグループに分類できます。

バランスを考えて食べることが大切と言われますが、例えば冷奴も、寒や涼グループの豆腐に、熱や温グループの生姜を加えてバランスをとった食べ物と言えます。
また、冬に大根や人参、里芋など根菜が食卓にのぼることが多いのは、それらに身体を温める作用がある、昔からの知恵が活きています。

冷えに効果的な生薬とハーブ

冷えに対する生薬としては、当帰(セリ科カラトウキの根)、川きゅう(セリ科センキュウの根)、生姜(生姜の根茎)、桂枝(クスノキ科の桂)、大棗(なつめの果実。強壮、利尿、鎮痛、健胃などに用いられる)、人参(ウコギ科オタネニンジンの根。体内器官の機能が不十分な状態”気虚”の症状に用いる代表的な生薬)など多数あります。

当帰は、冷えのみならず、婦人科系疾患全般の漢方薬として使われていますが、お粥や煮込み、またカレーの材料としても用いることができます。
川きゅうも同様に婦人科系疾患に用いられますが、血管拡張作用や鎮痛、鎮静作用のある成分があることから心身のリラックスにも用いられています。
生姜は身近な生薬ですが、漢方薬として知られているものは日常、私たちが口にしている根生姜とは異なったものです。生姜は、冷えだけでなく、風邪や胃腸障害にも有効です。生姜を薄切りにして作った煮詰め液に、蜂蜜を加えて飲む生姜湯は、本当に身体の芯から温まりますので、ぜひ、この冬にお試しいただきたいと思います。
一般にシナモンと総称されている桂枝も、やはり漢方で用いるものと欧米のシナモンとは種類が異なります。漢方薬の桂枝は肉桂といい、シナモンティーなどで用いるものよりも、太く大きな種類です。血行促進作用、特に身体内部を暖める作用を有しているとされています。甘味が強く香辛料に用いられる欧米のシナモンに対し、肉桂は辛味が強いのが特徴です。

次にハーブですが、欧米では”冷え”という概念がありませんので、関連する循環障害のハーブとしてイチョウ葉をご紹介します。
イチョウは、東洋医学でも銀杏や白果として主に呼吸器疾患に用いられます。近年の研究でイチョウ葉の成分に血管拡張作用が確認されたことから、欧米では、血流障害や耳鳴り、めまい、認知症などにも活用されています。
医療目的で使用する場合には、ハーブティーではなく、より成分が引き出された状態となっている、錠剤やカプセル、チンキ(ハーブの成分を引き出した液状の製剤)などを使います。

“医療機関で相談を

東洋西洋を問わず、冷えや循環障害に対するハーブはたくさんあり、家庭内でも愛用されているものが多数あります。しかし、医薬品との相互作用で注意すべきものもありますので、治療中の方は、必ず医療機関で相談して使用してください。
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身体を温めるレシピ

20131031_リンク矢印味噌雑炊
20131031_リンク矢印簡単生姜湯
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山本竜隆(やまもとたつたか)

20131013_ハーブ・山本先生医師・医学博士
1966年 神奈川県生まれ

タニクリニック副院長/昭和大学医学部非常勤講師/聖マリアンナ医科大学非常勤講師/東方医療振興財団 理事/日本東方医学会 学術委員・中医専門医/日本人間ドック学会 認定指定医/日本統合医療学会評議員/日本代替・相補・伝統医療連合会議 認定医/日本ホリスティック医学協会 理事/メディカルハーブ広報センター 理事/日本東洋医学会 認定専門医/日本医師会認定 産業医/日本ホメオパシー医学会 認定医/日本温泉気候物理医学会認定 温泉療法医など

聖マリアンナ医科大学卒業後、同大学病院にて内科臨床研修修了、昭和大学医学部大学院卒業。その後、American Holistic College of Nutrition 学士過程修了、聖マリアンナ医科大学予防医学助手、アリゾナ大学医学部統合医療(Integrative medicine)Associate Fellow(2000年?2002年)修了、統合医療ビレッジグループ総院長、中伊豆温泉病院内科医長、を経て、現在は富士山麓に滞在型予防医療施設Medical Providenceの開設準備を進めている。

主な一般著書
統合医療運営マニュアル(現代企画)
治る力を呼びさます・統合医療のすすめ(東京堂出版)
イタリアン・テルメ(エルゼビアジャパン)

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