第3回 デザインもいろいろ、食卓も華やかに。箸置きの由来って知ってますか? |
箸置きを使っている家って最近少なくなりましたよね
「今日は中華料理だからこれかな」
毎日の食事で箸置きを選ぶのは、子ども時代の楽しい手伝いのひとつでした。料理に合わせたり、季節、食材と色を合わせてみたり。今も続く習慣です。
でも最近は、箸置きを毎日出すご家庭はめっきり減りましたね。来客のときに「箸置き、どこにしまったっけ」と慌てていませんか。何故かと問えば、答えは明快。「面倒だから」ですよね。でも、考えてみますと、箸置きを出すのは1分もかからないのです。
箸置きひとつで毎日の食事の風景が変わる!?
そもそも箸が日本に伝わったのは、弥生時代後期とも飛鳥時代ともいわれ定かではないのですが、神様にお供えする物に対して「手づかみでは神様に失礼」として、「神器」として伝わったとされます。そのため、直接置かずに置き台に乗せたのが箸置きの始まりといわれ、日本がオリジナルなのです。
近年の私たちの周囲は簡便化される事柄や商品が豊富です。それでも面倒だからって、顔や手を洗わない人はいないはず(実は最近そういう人も増えてるんですが)。せっかく素敵な習慣なので、箸置きを出してみませんか。さらに、「出して片付ける」、その一連の動作だけで、食べ終わりも明確になり、ダラダラ食べ続けることもなくなります。食べ方も美しくなってくるのは、これぞ、神様と繋がる箸のチカラ!かもしれません。
日本人の美意識が隠された箸置きの使い方
さて、せっかくですから置き方も美しく置きましょう。江戸時代には箸先は3センチ以上は汚さないのが作法だったほど。箸先3センチを左に出し、食卓の手前横一文字に。これにもワケあり。「口で汚した箇所を隠す」という配慮なのです。和心、美しいですね!
是非、タンスに眠らせている方は、今日から箸置きに日の目を見せてあげてくださいね。
文/小倉朋子(おぐらともこ)
フードプロデューサー、「食輝塾」主宰。
企業や飲食店への事業戦略、メニュー開発、プロデュースのほか、テーブルマナーと食文化の総合教室「食輝塾」主宰。食事作法、伝統食からトレンド分析、食育、ダイエットなど専門は幅広い。「グルメ以前の食事作法の常識」ほか著書、連載、テレビ出演多数。