第3回 子宮頸がんについて |
資料提供:川崎南部病院健康管理センター所長 院長 仲 眞美子
がんの予防的治療
最近のがんの話題では予防的治療が話題ですが、胃がんが、ピロリ菌の抗生物質治療で80%ぐらいは予防できるとされています。
子宮頸がんは、これまで女性のがんとしては胃がんを除くと一番多いがんでしたが、集団検診の普及、入浴、ウォシュレットなど衛生環境の改善に伴い減少してきていました(図1)。
しかし最近、日本だけなく世界的に若い年代の罹患率死亡率が上昇してきています(図2)(図3)
この様に、若い方に多いがんですが、早期に発見すれば命に別状はなく、円錐切除やレーザー治療で子宮を温存でき、妊娠出産も可能です(図4)(表1)。
しかし、問題点は検診受診率の低さです。日本では特に低く、20歳代では20%以下です(図5)(図6)。
子宮頸がん検診
子宮がん検診とこれまで一般に言われてきたのは、内診と子宮頸部細胞診のことです。内診は、膣内部のおりものの状態やポリープを診察し、触診で子宮や卵巣の状態を診察しますが、小さな病変は見つかりません(表2)。子宮頚部細胞診は、子宮の入り口の部分を綿棒などでこすり細胞を調べます。検査できるのは子宮頸がんになります。子宮体がんの細胞診もありますが、閉経期前後から多くなり40歳ぐらいからでよい(不正出血などの症状があるときなど)とされています。
子宮経腟エコーでは卵巣腫瘍(若い人にも多く自覚症状がない)、卵巣のう腫、子宮筋腫、内膜症など腫瘍以外にも不正出血、生理痛、不妊の原因、貧血の原因など多くの情報が得られます。年に1回受診しましょう。
なかなか若い女性が自費で婦人科・乳腺検診(約3万円必要)を受けることは少ないのが現状です。地域や職場で、子宮頸がんの細胞診の補助があります。そのとき追加して受けておくとか、当クリニックのように、女医と女性のスタッフで検査が受けられる施設が増えていますので、法定検診時にオプション検査として受けるのもお勧めです。若い女性にがんが多いのに、なかなか検診が受診しにくい状況です。今後、日本の医療制度が厳しい状況になってゆくと考えられますので、様々な支援が必要と考えられます。
資料提供:川崎南部病院健康管理センター所長 院長 仲 眞美子
医学博士 仲 眞美子(なかまみこ)プロフィール
昭和50年 東京医科大学医学部卒業。 東京医科大学大学院医学研究科内科学専攻博士課程修了後、社会保険蒲田総合病院内科医長、(社)伊勢崎佐波医師会病院成人病検診センター長などを務め、平成18年度よりイーク丸の内で院長として勤務。
日本リンパ網内系学会評議員、日本総合健診学会評議員、日本内科学会、日本人間ドック学会、日本産業衛生学会の各学会に所属。NPO法人「地球は食卓」理事。
著書に『からだの百科』『医療薬学』『ヘルスチェックアップ』『これからの健康づくり−基礎から実践までのガイドブック』 がある。